心と身体のバランスブログ

心の持ち方や健康面に関する記事を書きたいです。

エコノミカル・パレスの感想 6

f:id:akane177:20210117134256j:plain この小説のなかには母親も登場している。主人公とは対面してないまでも時々、実家から電話が掛かってくる描写がある。 今で言う「毒親」なのだが、娘に何やら頼み事の電話が掛かってくる。主人公から母親に対して、電話を掛ける描写はないが、ろくでもない電話ばかりだ。 演劇や講演会の費用を払って欲しいだの、健康に良い物を買うためのお金が欲しいだの、娘に金の要求をしてくる。 しまいには主人公も怒り出す始末。 「はっきり言うけど、私お金ないのよ、おかあさん、悪いけどヤスオ仕事やめちゃって、なんだか新しい仕事もないし、ってことは私が家賃とか出してるわけね、当座、当座よ、ヤスオがまた働くまでの期間と割り切ってそうしてんだけど、朝から深夜まで働いて、一万ちょっとなのよ、それっぽっちなの、文章だけ書いていられたらずいぶんいいなあって思うけど生活があんのよ、わかる?私そんな偽物三味線聴くお金どころか、ホテル代も歌舞伎のチケット代も、不二家のクッキーすら買っておくってあげられるお金はないの」 挙句の果てに母も反撃をしてくる。 「結婚もしてくれない男なんか、わかれなさいよ」 その会話をヤスオが聞いていたのか、主人公にこう話す。 「250万プールされるんだよ」「たとえば二年おれがブータンだとか、ラオスとか、そういうとこで働いたりするじゃん、向こうではさ、現地の貨幣通貨に合わせてさ、こづかいが支給されてさ、生活にこまんないくらいは。プラス日本で給与がちゃんと積み立てられてきんだよ、それが二年で250万円、たいした額じゃないかもしんないけどそれを全額あんあたにさ」 ヤスオ、君は夢を見ている。ブータンとかラオスなんて日本より治安の良いとこじゃないぞ。本当に250万貯めれるなら、今頃、ボロアパートから脱出している。 早く目を覚ませ。